<読書メモ>お手伝い至上主義「自分で決めてできる」子どもが育つ~
こんにちは、ずーしみです。今日は読書感想文を載せます。
お手伝い至上主義
「自分で決めてできる」子どもが育つ
三谷宏治 著
著者の三谷宏治さんは、元経営コンサルタント(アクセンチュア、BCG)で、現在は金沢工業大学大学院(K.I.T)虎ノ門キャンパス イノベーションマネジメント研究科で専任の教授として教鞭をふるっている。
私は以前、金沢工業大学大学院で、科目等履修生として、三谷宏治さんの授業を3科目(戦略思考要論、戦略思考特論、CRM特論)受講した。
三谷宏治さんの印象、それは、はっきり言って神である。
授業中はめちゃくちゃ厳しい。でも私は、三谷さんを通して、本当の厳しさを持っている人というのは、本当の優しさを持っている人だということを学んだ。
人格者として、本当に素晴らしい人である。
さて、元経営コンサルタントであり、現在教授の三谷さんだが、その活動範囲はとても広い。その広さを証明するひとつが、本書。子育て本である。
巷には、やれ子供の早期教育だの、塾通いだの、お受験だの、そんな情報が溢れていて。子供のためにと思い、ありとあらゆるものを与える。そしてそれが「良し」とされているようにも感じる。かく言う私もそんな情報たちにおどらされていた。
でも、三谷さんの本書での主張は違う。
与えすぎる日本の親たちに疑問を投げかけている。
親の過保護・過干渉によって、子供たちから奪ってしまっている能力や姿勢は膨大です。
そして、下記に記すような内容の「与えすぎてはいけないもの」について、具体的な事例とともに紹介している。
「指示」を与えすぎない
なんでも相談してくれる従順ないい子。それは将来の「指示待ち族」。きめ細かな指示が、子供の判断力を奪ってしまう。
「予定」を与えすぎない
優秀なマネージャーママが時間管理をすべてやってくれて、子供はお受験に励むだけ。そんなことをしていると、子供は自己管理能力がつかない。
「モノ」を与えすぎない
ジャングルジムや折り紙などの、自由度の高い遊びの場がどんどんなくなっていっている。できあがった「モノ」を与えても、発想力は鍛えられない。
「カネ」を与えすぎない
早く大人になって、自分で稼いで、好きなモノを買って楽しもう!そういう根本的な「意欲」を持たせるために、過剰なお金は邪魔。
こんな言葉も引用されていた。
「古今東西、英雄・豪傑はみな貧乏の中から生まれておる。わしに稼ぎがないのはみな子供のためじゃ。親が偉いと子供は偉ろうならん。食うだけは食わせる。それ以外のことは自分でおしっ byNHKドラマ 「坂の上の雲」久敬の言葉」
この言葉読んで安心した。そう、安心して、お金よりも遣り甲斐を誇れる仕事をしよう(笑)
「答え」を与えすぎない
意図するとしないとにかかわらず、この世はあいまいで、正解は複数あるという。それを見抜いて、独自の新しい考えをつくり出す力こそが、これからの日本の子供たちには必要。
「勉強」を与えすぎない
三谷家では塾には簡単に行かせてもらえないらしい。試行錯誤をする力がなくなるからという。
なんと三谷家では、親にきちんと説明しないと高校受験すらさせてもらえないらしい。義務教育は中学までだからとか。
「夢」を与えすぎない
夢は破れるもの。そこから這い上がる力こそが人生を作るという。
一般社会人で「18歳のときに考えていた職業に就いている人」は全体の2%のみ。
つまり、夢は98%破れる。つまり、「人生、夢が破れてからが勝負」という。
私なんて、夢やぶれてばっかりでここにいて、もう無理、もう何もできない、自分は何もできない、できない、できない、、、そんなことばっかり考えていた時期あったな。
そうか、夢は破れるものなんだ!
破れてからが勝負なんだ!!
夢敗れてからが勝負、この考え方に勇気をもらった。
だから今、こうやってブログを始めているわけだし。
そして本題。
三谷さんが本当に子供たちに与えたいもの。それが、
ヒマ・貧乏・お手伝い
このお手伝いのさせ方が、、、かなり徹底している。
分担を決めたら、徹底してさせる。ママが手伝うのは禁止。
だから、その分担の仕事・・・例えば洗濯担当の人がさぼったとする、そうすると本当に、着るものがなくなるのだという。掃除担当の人がさぼったとする、そうすると本当に汚れたまんまだという。その不便を楽しむのだ、お手伝いをさぼったらいかに不便かを経験するのだというから、、、決意の強さを感じる。
「お手伝いできていないなら、学校に行かなくていい!」なんてくらいの徹底ぶりである。
一方で、お手伝いの効用についてもしっかり説明している。
お手伝いが、いかに道徳心や正義感を育むか、就職力をアップさせるか、課題解決力、コミュニケーションスキル、段取り力、意思決定力をつけさせるか。。。
確かに、と納得させられるのに十分な根拠が、本書には詰まっている。
そして、三谷家の子供たちは貧乏なのである。お金を本当にわずかしか与えてもらえない。ただ、この貧乏こそが、トレードオフ、交渉力、コミュニケーションスキル、計画性を鍛え、工夫を生むのだという。
本書ではこうも記されている。激しく同意できる内容である。
「仕事への意欲」を世界中で比べた調査があります。日本人はその意欲レベルにおいて、ほぼ最下位の結果でした。
お金が少ないからこそ、それをどう使うか考えますし、使途が自由だからこそ、自分で選んで決めた、という「自己決定感」が高まります。
そしてそれこそが、根源的な意欲につながっていくのです。
そして「ヒマ」こそが、発想を生み、自律を促すという。
本書で特に注意していたのが、携帯電話の使い方。ヒマにとって、携帯電話は強敵。いまの子どもたちにとって、真に自由(=ヒマ)な時間は少ない。ちなみに三谷家の子どもたちは、高校まで携帯禁止、高校に入ってからもお手伝いがキチンとできていない場合は携帯を持たせてもらえないらしい(笑)。テレビやゲームも徹底的に制限されている。
この制限こそ、絶好の「トレードオフ」や「取捨選択」の練習の機会だと。
あまりに厳しい三谷家の家訓に、お子さんたちは反乱、涙、家出を繰り返していたようである(笑)
さすが、元経営コンサルタント、現経営大学大学院教授。実社会データを用いて根拠を示しつつ、巷の育児本とはかけ離れた提言。
たしかに、会社員をやっていると、学歴が高いだけの、意欲なし夢なしの指示待ち族も少なくなくて。
本書では、ここに書ききれないほどたくさんの提言があって、その全てに激しく同意! ただ、ここでの提言の全部を消化しきれるような人格が備わってこその、子育て方法な気もする。かなり、難易度が高め。。。
ただ、とにかくこの本と出会った私と、出会わなかった私とでは、子育てに対する意識が全く違っていたと思う。
子どもが小さいうちに、この本に出会って本当に良かった。